【ニュース・イギリス】政府によるEU市民の権利に関する提案

2017年6月26日、内務省(Home Office)は英国におけるEU市民とEUにおける英国人の権利をいかに保護するかという提案書の詳細を発表した。
May首相は英国におけるEU市民の顕著な貢献に鑑み、引き続き英国に居住するための権利を保障すると述べた。なお、本件は英国に在住するEU市民の権利の保護とEUに在住する英国人の権利の保護の互恵を求めるための提案であることを強調した。

 

英国に滞在しているEU市民に対して「在留」というカテゴリーを設け、すでに5年以上英国に在留している場合、この権利は即座に適用される。また、英国に滞在しているが5年に達していないものは5年に達するまで滞在を認められ、以後「在留」の権利を得られる。「在留」の権利を得たEU市民は英国市民と同様の権利と保障を与えられる。すべての在留申請者は犯罪記録の調査を受ける。

 

GOV.UK:UK government publishes proposals on rights of EU citizens

 

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6月27日、世界4大会計事務所のひとつであるDeloitteは、英国政府やビジネス界が直面する問題を調査し、競争力、イノベーションや企業成長のための実務的なアドバイスを提供する初めてのレポート「Power Up-英国の職場」を発表した。
本調査は2,000人の非英国人労働者(半分がUK国内在住、半分がUK国外在住)を対象とし、英国の職場環境と生活環境を理解するために実施された。

結果概要:
  • 英国は米国、オーストラリア、カナダを押さえ、優秀な高熟練労働者にとって最も人気のある国である。
  • 十分な雇用機会と多様性は英国の強みと見られる。
  • EU離脱は意識を変えた。-UK国外労働者の21%, UK国内の労働者の48%がUKに対して魅力が薄れたと感じている。
  • UK国内の外国人労働者の36%は5年以内に英国から離れることを考えている。
  • 高熟練のEU労働者に至っては47%が今後5年以内に英国から離れることを考えている。
  • 地域により結果が異なっている。例えばノーザンパワーハウスと呼ばれる北イングランドのマンチェスター、リバプール、ニューカッセル地域は21%だが、ロンドンでは59%の労働者が英国から離れることを考えている。
  • 英国は人材不足の危機に直面する可能性がある。-高熟練労働者が最初に移動する傾向があるので、短期的にその埋め合わせをする必要に迫られる可能性がある。
  • 特定の分野への非英国人労働者の集中とオートメーション化は関連がある。
  • EU労働者数が最も多い3つの分野はオートメーション化の可能性が高い。

提案事項:
報告書は段階的な4つの推奨事項を提案している。

1. 高い才能をもつ者の個人的な選択を認める新しい移民法の制定。
2. 現在もしくは将来の労働者に対するスキルアップのための投資。
3. デジタルの採用と、単純作業のオートメーション化のため技術開発への投資。
4. 地域レベルで対応できるよう、地域レベルでの仕事の創出。
政策立案者、教育者、あらゆる規模の企業が団結し、英国における潜在的な問題点等を提唱し、コアスキルや生産性を高めることは重要である。

 

Deloitte:Power Up-The UK workplace

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