2017年2月6日、英国政府は学生ローン帳簿の売却の開始を発表した。これは、納税者の税金を有効に活用するとともに財政負担を減らすために公有資産を売却するという政府の取組の一つとして実施される。
2012年以前に発行されたローンの売却に係る4年計画の第1期として、2002年から2006年の間に返済が開始されたものが売却の対象となり、これにより£120億が国庫に戻ると予想されている。
売却される学生ローン自体の契約条件や返済に変更はない。また、英国歳入関税局(HMRC:HM Revenue & Customs)や学生ローン会社(Student Loans Company)の現行サービスは継続する。また、今回の売却対象のローンを有する人には、売却後、政府からの公式な文書が届くが、それに対する回答など何もする必要はない。
Jo Johnson 大学・研究・イノベーション担当大臣は、“現政府は、公共財政をコントロールすることでバランスの取れた予算に戻すことを公約しており、その一環として、我々は英国の納税者にとって価値のある資産の売却を考えている。この売却は学生ローンを負っている人にはまったく影響がなく、納税者にとって価値がある場合にのみ実施する。”と述べた。
GOV.UK:Government launches first sale from the student loan book
【メディアの反応】
○ガーディアン紙(The Guardian)
政府は、物議を醸している学生ローン帳簿の売却を開始した。Jo Johnson 大学担当大臣は、ローン債務者の支払いには影響がないと説明したが、政府はすでに学生ローンの返済に関して決定を覆したことがあり、大臣の保証も疑わしいとの批判もある。また、売却が納税者のお金の有効活用につながるということについて疑問を投げかける者もいる。
英国学生連合(NUS:National Union of Students)総裁のSorana Vieru氏は、この売却について、学生ローンが、学生の債務者を犠牲にして民間の債権購入者が得をするようなものに変えられていく危険があると警鐘を鳴らし、次のように述べた。“学生は他に選択肢がなくてローンを組むのに、それによって銀行家が利益を得るというのは言語道断である。政府はまず初めに教育を安く提供したいと考えるべきである。”
The Guardian:Universities minister announces sale of student loan book