2017年7月11日、ウェールズ政府は2018年秋、大学の学費がインフレ上昇率にあわせて最高£9,295にあがることを発表した。インフレ率によってこの先3年間毎年上昇する見込みである。
英国の学費の最高額はすでに£9,250となっており、2018年秋は£9,500を超える見込みである。
ウェールズの教育大臣のKirsty Williams氏は「値上がりはイングランドの政策によるものでウェールズ政府はイングランド内外の情勢から直接的な影響を受けている。我々の大学は国内的にも国際的にも競争力を持たなくてはならない。今後も公的な学費ローンの利用は可能であり、卒業後収入がある水準を達したときのみ返済開始のシステムを継続する。」と同氏は強調した。
しかしウェールズ学生組合の代表であるEllen Jones氏は「 学費の値上げにはまったく賛成していない。高等教育への参加を更に困難にした。英国政府の公共支出の退行的なやり方の影響を受けて予算が圧迫されていることは理解できるが、最悪の状態になったのはウェールズ政府の対応のまずさによるものだ。学生にすべての負担をかけることが当然になっている事実が耐えられない。各セクターで予算の取り合いをするのではなく、医療予算を守るように全教育予算を守ることを大臣にお願いしたい。」と述べた。
一方でウェールズ政府は新しい学生支援策を発表した。昨年発表されたダイアモンドレビューに基づき、2018~2019学事年度より全学生は資産調査に基づく給付調査を受ける前に、年間£1,000が支給されるというものである。
3分の1のフルタイムの学生が最高で£8,100受給でき、年間収入が約£25,000の家庭の出身の場合、年間£7,000の奨学金が受けられると試算している。
BBC News:Tuition fee £9,000 cap to be raised, says Kirsty Williams
【メディアの反応】
○ガーディアン紙(The Guardian)
『ウェールズ教育大臣Kirsty Williams氏によるガーディアン紙への寄稿』(2017年7月14日付)
新しいシステムは2018~2019学事年度から英国の大学に進学する学生対象で、すべての学生は国民生活賃金(最低賃金)相当を支給されるというものである。例えばフルタイムの学生でロンドン市内の大学に通う場合、生活補助費として年間£11,250、それ以外の地域であれば£9,000支給される。イングランドではこのような制度は皆無であり、スコットランドでは多少行われているものの現在その制度の見直しが行なわれている。
しかし今回のもっとも斬新な改革は、パートタイム学生や大学院生も同様な支援が受けられることである。ヨーロッパ中でもウェールズが初めて実施することになる。
大学院生に対する支援制度は2019年から実施予定であるが、その前には更なる支援も実施される。イングランド国内どこでも利用可能なローンや、ウェールズの大学に対し、大学院生を対象にした支援をするための財政支出をするというものである。これにより学生一人あたり約£4,000が支給されるようになると見込んでいる。
ウェールズはヨーロッパの中でも唯一このような大きな第一歩を前進させた。他の政府も共有する事を待っている。」
The Guardian:It’s not about whether we charge tuition fees-in Wales we’ve found a third way