【ニュース・イギリス】学生と納税者のため大学価値の保障-大学・科学担当大臣のスピーチ

2017年7月20日、大学・科学担当大臣Jo Johnson氏は学生と納税者からこれまで以上に理解を得られるための高等教育制度計画を発表した。

 

大学学長やその関係機関の関係者を前に行われたスピーチでは、すべての大学は学生が大学において何を学ぶことができるのか、について今まで以上に明確なcontractを提示するように強く求めた。また、急上昇している学長の給与の更なる値上げに終止符を打つように求め、首相より上回る給与の場合、その正当性を公に対し説明するよう要求した。これは新しく設立される学生局(OfS:Office for Students)がこの問題に対応することになる。

 

また、大臣は次の段階のTEF(Teaching Excellence Framework:教育評価制度)として、学科レベルの教育評価のパイロット版を秋から実施することも発表した。次段階のTEFでは卒業生の進路分析も調査に加え、将来のキャリアを見通した大学の選択ができるようにする。

 

Johnson氏は一定の所得以上の者が学生ローンを返済するという現在の大学助成金制度の持続を支持した。

 

GOV.UK:Securing value for money for students and taxpayers

 

【各機関の反応】

 

○英国大学協会(UUK:Universities UK)/Dame Julia Goodfellow理事長
現行の学費と所得による学費ローンの返済システムは学生達が求めている世界クラスの高等教育を受けられることを可能にしている。
現行のシステムは補助金によって学費を補っており比較的低収入の大学卒業生を保護している一方で、学生やその家族から問題視されている学生ローンの負債がどのように処理されていくのかを説明する必要がある。我々は現行のシステムが公平で誰にでも参加できるものでありたいと考えている。
大学は運営資金が学生やその両親にとってアクセスしやすく有意義であることを公開し情報提供してきている。最近の統計調査では、学生はかなり高い率で大学を信頼しているが、一方でもっと個々に即したアドバイスや支援を希望している。

 

学科レベルのTEFのパイロット調査は実効性があるか、学生にとって価値がある調査であるのかを見定めるいい機会である。

 

すべての大学は在籍学生と契約を交わしている。また大学側は公平かつ透明であることを証明するために競争・市場庁(CMA:Competition and Markets Authority)の助言にも応えてきている。学生は大学内の担当部署のみならず、外部の独立した仲裁機関や、最終的に裁判により問題を解決する道筋が保障されている。学生と大学との契約が守られることが重要であり、政府と学生局とともに真摯に取り組んでいきたい。

 

Universities UK:Universities UK response to Universities Minister’s speech

 

○ラッセルグループ(Russell Group)/Sarah Stevens政策担当部長 [2017年7月21日付]
学生は大学に対して質のよい教育を期待する権利があり、我々グループはその点に常に真摯に取り組んでいる。多くのラッセルグループの大学は、学生団体と連携協力して「大学が学生たちに求める役割・責任・期待、また学生が大学に対し求める役割・責任・期待」を明文化したcharterの作成に取り組んでいる。
学生を保護するシステムは必要であるが、それは同時に大学にとってフェアなものでなければならない。大学は学生にチャレンジをするように図っており、わざとぬるま湯に浸かった状態から引き出すように仕向けている。誰も法の縛りにより大学の基準がむしばまれて弱体化していく大学の姿を見たくはない。現状で言えることは、大学に対する数々の新しい要求が予期せぬ結果に終わらぬように気をつけなければならない、ということである。

 

Russell Group:Jo Johnson speech

地域 西欧
イギリス
取組レベル 政府レベルでの取組
行政機関、組織の運営 政策・経営・行動計画・評価
大学・研究機関の基本的役割 教育
学生の経済的支援 学費