【ニュース・イギリス】大学大臣が学生の不正行為に対する罰則強化を要求

2017年2月21日、Jo Johnson 大学担当大臣はエッセイ・ミル(essay mills)-学位取得に必要なエッセイなどの執筆を代行するウェブサイト-の広がりを受け、大学及び学生団体に対し、他の不正行為同様、これらのウェブサイト利用の防止について、大学向けのガイダンスと学生向けの情報提供を実施するよう求めた。大学質保証機関(QAA:Quality Assurance Agency)はこれらのサービスに関するオンライン広告に対策を講じ、この問題に取り組む国際機関とも協力している。

 

大臣はガイダンスに、エッセイ・ミルのウェブサイトを使った学生に対する厳しい罰則を新たに含めるよう求めるとともに、このような行為が将来のキャリアに重大な悪影響を及ぼすということを学生に教育する必要性を強調している。

 

大臣は“不正行為は容認できるものではなく、大学はこれらの行為に対して厳しい方針と罰則を持って臨むべきである。また、エッセイ・ミルウェブサイトは英国の優れた学位の評判を損なわせる恐れがあり、全大学は断固とした態度で協力してこの問題に取り組む必要がある。”と述べた。

 

エッセイ・ミルの広がりについては、昨年政府の委託によりQAAが実施した調査の報告書で明らかにされた。当該ウェブサイトは、学生に有料でサービスを提供し、しばしば、盗用検索ソフトには引っかからないと“非盗用保証”を謳っている。

 

その後のQAAの調査によると、現在エッセイ・ミルサイトは100件以上存在している。価格はエッセイの複雑さと締め切りの厳しさによって異なり、エッセイ1本あたり£200~300のものから博士論文では£6,750まで様々である。

 

大学向けの新しいガイダンスと学生向けの資料は2017~2018学事年度の始めには完成予定である。

 

GOV.UK:Jo Johnson demands tough penalties on student plagiarism

 

関係機関の反応

 

○英国大学協会(UUK:Universities UK)
同協会の Dame Julia Goodfellow 会長は“大学は盗用やその他の不正行為の問題を非常に重く受け止めている。他人が書いたものを提出することは不正であり、学生の学位取得のための努力が水の泡になる。大学はそのよう行為を行った学生に対して厳しく処分している。このような学術上の不正行為は大学の規律違反であり、最悪の場合は退学となる。

 

大学生活初日から学生に不正行為の意味とそれをどのように回避するかを考えさせることが年々重要になってきている。同時に、大学は授業や論文の締め切りによってストレスや不安を抱えている学生に対しサポートもしている。

 

高等教育機関はこのような問題に以前から対応しており、不正行為を発見する例も増えてきている。同協会は高等教育機関とグッド・プラクティスを共有するとともに、QAAや学生組合と協力し、不正行為に関するガイダンスを更新していく。”と述べた。

 

Universities UK:Response to calls for tougher action to tackle plagiarism

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