【ニュース・イギリス】大学は進学率の低い地元の学校へ手を差し伸べるべきという新しい指針が発表

2016年2月11日、ビジネス・イノベーション・技能省(BIS)は、大学が貧困層の多い地元の学校と協力することで、社会的に不利な背景を持つ学生や学習障害者の参加機会を拡大することを求める新指針を発表した。
指針は、大学出願者の社会的背景に関するデータの提出を求める1月31日の首相発表に基づくもので、OFFA(高等教育への公平なアクセスを保護・促進する役割を担う非政府公的機関)に対し要請される。
指針によると、アクセス・アグリーメント(年£6,000以上の授業料を課す高等教育機関がOFFAとの間で締結することを義務付けられている参加機会拡大に関する協定)の締結にあたって以下の点を考慮すべきとされる。
・大学進学の低い地元の学校と共同し、HEFCEのプログラムであるNational Networks for Collaborative Outreach (NNCO) を活用して、生徒に大学生活を体験させ、高等教育への興味を喚起する。
・失読症、統合運動障害、アスペルガー症候群、注意欠陥障害などの学習障害を持つ学生に対して一層の支援を行う。今回初めて明確に支援対象となる集団としてこれらの学生が言及された。
アクセス・アグリーメントはOFFAの理事によって毎年監視、評価され、進捗状況が公表される。
アクセス・アグリーメントに基づいた大学の予算配分は、2009年の£4億400万から、現在では£7億4500万まで増大した。指針はこの支出を、最も支援を必要としており効果の高い若年層に集中する必要を強調している。特に以下の点が重要である。
・地元の社会的に不利な背景を持つ学生に積極的に働きかける。
・中途退学率の改善に取り組む。
最近のデータで、社会的に不利な層出身の出願者は過去最高となったことが分かったが、まだ以下の点で取組むべきことが残っている。
・最も社会的に不利な層出身の白人学生の大学進学率はわずか10%である。
・全体平均の7%と比較して、黒人学生の11%が入学後1年以内に学業を断念している。
・エリート大学への入学は特に困難である。社会的に不利な背景を持つ学生の割合は、ラッセルグループの各大学への入学者で6%、オックスフォード大学では3%である。

 

GOV.UK:Universities told to reach out to students from poorest neighbourhoods under new guidance

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