【ニュース・イギリス】大学における無条件合格者数の増加

2017年8月12日、Daily Telegraphによると、無条件で合格者を受け入れる英国の優秀大学の数が5年前に比べて倍増していると報告した。(高級紙Independentによる報道)
大学間で入学者獲得競争が激化する中で、より多くの学生を確保するためにこのような事態が生じているとされている。特に英国の優秀な大学で構成されているラッセルグループ加盟の大学が無条件合格者数を増やしていることを指摘している。

 

統計によるとUniversity of Edinburghにおける無条件合格者は2012~2013学事年度は125人だったが2016~2017学事年度は350人とほぼ3倍に、University of Birminghamでは 1,003人から2,471人へと倍増している。またKing’s College London、University of Warwick、University of Manchesterでも同様の傾向が見られていると報道している。

 

この傾向は2015年に施行された新しい助成金の規定により、イングランドにおいて学部定員が廃止された以降に顕著になっている。定員廃止を受け、大学は利益を出すために可能な限りの学生を受け入れようとしており、ビジネスライクだという非難を巻き起こしている。
無条件合格数は2014年では12,100人であったところ、2015年には23,400人となり、2年前の定員廃止により着実にその数を伸ばしている。

 

学生を取り込むために、入学資格を満たすSixth Form(大学入学資格試験の受験コース)の成績を取得している学生に対し、もしこの大学を第一志望とするのであれば無条件にアップグレードする、という条件を出す大学も多くなっている、という傾向も見受けられる。 
大学入試機関(UCAS:Universities and Colleges Admissions Service)は報告書において、無条件合格者数が増加傾向にある原因のひとつとして、Aレベルに達する生徒数が2010年と2015年を比べると減少していることにあると警告している。

 

ラッセルグループの報道官は「すべての申請は大学入学志願者の詳細な成績記録、及び入学者選考チームが、申請者が大学のプログラムでやっていけるかどうかを判断することによって決定されている。」と答えた。
無条件合格者の増加に関わらず、学生数は減少している。最近の報告では大学進学を考えている若者の割合は年々減ってきており、学費など財政面が一番の原因とされている。
ウェールズとイングランドの11歳から16歳の2,600人を対象に行われたサットントラスト(Sutton Trust)の調査によると、7人中1人(14%)は高等教育機関への進学を考えていないという。同じ質問で5年前の調査結果は8%であった。
また最近の教育省(DfE:Department for Education)の統計によると、恵まれない学生を高等教育に参加させるプログラムに多額の資金を投入しているにもかかわらず、公立校と私立校出身者の大学進学者数の差がこれまでの最高を記録した。

 

INDEPENDENT:Universities ‘allow increasing numbers of students in without asking for any grades’

 

【関係機関の反応】

 

○ラッセルグループ(Russell Group)[2017年8月14日付]
ラッセルグループの報道官は「ラッセルグループの大学の課程は知的挑戦に満ちたもので構成されている。入学担当スタッフが各学生の学習記録を分析し、当該大学の課程に十分に見合う能力を持つと判断した場合に学生にオファーをしている。いくつかの大学では例外的にごく少数の学生に対し無条件合格を出しているが、彼らは既にAレベルの結果が出ているか、その他の高等資格を持つ学生である。無条件合格を出している場合、多くの大学では入学基準を満たしている生徒だけに出している。」と語った。

 

Russell Group:University unconditional offers

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