【ニュース・イギリス】シンクタンク報告書:大学は企業同盟(カルテル)のようだ

2017年9月3日、BBCの報道によると、2020年の次期総選挙の公約作りのため創設された中道右派のシンクタンク、“UK2020”が大学に関する報告書(“Time bomb:How the university cartel is failing Britain’s students”)を発表した。

 

この中で「大学はまるでカルテルのようであり、2年制学位コースを十分に提供していないと非難されている」と述べている。また「この短期学位コースは学生ローンの返済額を縮小することができる」と述べている。この意見は労働党の上院のLord Adonisやすでに2年制を実施している私立大学University of Buckinghamの学長であるAnthony Seldon卿にも支持されている。

 

しかし公立大学を傘下に置く英国大学協会(UUK:Universities UK)のスポークスマンは、「そもそも2年制コースの採用は限定されてきた。また、公的な調査により、高等教育機関間における競争は適切に行われてきていると報告されている。いくつかの大学ではすでに2年制コースを提供してきているが、現在の学費やローンのシステムのため学生からの需要が限定されている。」とも述べている。

 

この2年制学位号取得コースを増やす計画は2017年2月に大学大臣であるJo Johnson氏から発表があった。
今回の報告書UK2020は、実業家でLeave.EUの創設者であるRichard Tice氏との共著であるが、2年制学位コースは学生の負債額を減らし、選択肢を広げ、住宅不足の解消の助けになる、と述べている。
2017年、£9,250にまで学費が上昇したことにより、イングランドにおける「リアルな」大学の選択や学生間の競争がうまく機能せず、また多くの学生が負債や利子率に関して怒りを持っているが、これらを報告書では「時限爆弾を抱えている(“timebomb”)」と表現している。また企業同盟(カルテル)のごとくほとんどの大学が最大限の学費を設定し、のろのろとしか改革に取り組まず、民間の高等教育関係者の競争への参入を締め出している、と述べている。

 

価格競争という点では大学は最も失敗した分野であり、長期的に学生を支援する資金調達法を探さなければならない、と報告書は指摘しており、また2年制学位取得コースにすると、卒業生一人当たりで最大£20,000の節約ができると見積もっている。 
保守党の議員でUK2020の議長であるOwen Paterson氏と労働党のAdonis卿は「異なる党の政治家がこのような国家的重要な要素を持つ問題で同意することは稀である。しかし学生や大学への資金提供の危機を解決したいという信念を持って団結している。」と述べた。

 

BBC News:Universities run cartel, says think tank

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