【ニュース・アメリカ】STEM博士号取得者の61%は学術界以外で就職

米国研究所(American Institutes for Research:AIR)は、学術界以外で就職した理数系(STEM)分野の博士号取得者に関する報告書「STEM博士号保有者の学術界以外でのキャリア(The Nonacademic Careers of STEM Ph.D. Holders)」(URL1)を発表した。本報告書は、米国科学財団(National Science Foundation:NSF)による「2010年博士号保有者調査(2010 Survey of Doctorate Recipients)」で収集されたデータの中で、1959年から2010年の間にSTEM博士号を取得した約40万人のデータを分析したものである。これによると、STEM博士号保有者の61%が学術界以外で就職しており、このうちの43%は、研究開発が主要な職務内容ではないことが明らかにされた。男女別では、STEM博士号を保有する男性の50%以上が研究開発職に就いている一方、白人女性では43%、黒人女性では37%のみとなっている。その他の主要な分析結果は以下の通りである。

・学術界以外でのSTEM博士号保有者の就職先は、民間営利企業が大半であるが、黒人女性は例外で50%が政府に勤務

・学術界以外で就職したSTEM博士号を保有する女性の48%が生物科学専攻と最多であるのに対し、男性では工学専攻者が37%と最多で、この傾向はいずれの人種グループにも共通

・STEM以外の分野で就職しているSTEM博士号保有者は、黒人・ヒスパニック系・白人女性が約28%と最多であるのに対し、アジア系男性16%、アジア系女性18%、ヒスパニック系男性18%、黒人男性21%、白人男性21%

・学術界以外で就職したSTEM博士号保有者の約90%が工学、生物科学、または物理科学専攻者であるのに対し、農業科学、コンピューター科学、及び数学・統計学専攻者が占める割合はそれぞれ5%以下

・学術界以外での就職者の占める割合が最も高い分野は工学専攻者の74%であるのに対し、最も低い分野は数学・統計学専攻者で39%
・学術界以外で就職する比率が最も高い人種はアジア系のSTEM博士号保有者で、女性の66%と男性の73%が学術界以外に就職

URL1: http://www.air.org/sites/default/files/downloads/report/STEM%20nonacademic%20careers%20April14.pdf
URL2: http://www.air.org/news/press-release/sixty-one-percent-stem-phds-pursue-nonacademic-careers

地域 北米
アメリカ
取組レベル 政府レベルでの取組
人材育成 若手研究者育成、研究人材の多様性、教員の養成・確保
統計、データ 統計・データ