【ニュース・アメリカ】NIH、研究助成の有効性を高めるために新たに「助成支援指標」を導入

国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)のフランシス・コリンズ(Francis S. Collins)長官は2017年5月2日、NIHが拠出する研究助成の有効性を検証するために、新たなイニシアティブを導入することを明らかにした。
NIHが拠出する生物医学研究助成はここ数年において、キャリア初期の研究者に対する助成額が増加したものの、キャリア中期の研究者に対する助成が減少し、助成額が増加しているグループはキャリア後期の研究者のみという傾向を示している。また、NIH助成受給者の10%が助成総額の40%超を受給している。

 

これらの現状を踏まえ、今回導入されるイニシアティブ「助成支援指標(Grant Support Index:GSI)」は、助成金のみに焦点を当てるのではなく、助成を受給する研究の種類・複雑性・規模に基づく研究助成活動コードに応じて点数を与えるものである。例えば、主任研究員が単独で行うR01研究を含む、最も一般的な「7点」というポイントを与えられる研究事業に関し、NIHから3件助成を受給している研究者の場合、ポイント21点を保有することになる。GSIでは、1人の研究者のポイント上限を「21点」に設定する予定で、すでに21点を上回る研究者がNIHに他案件で助成申請を行う場合、既存の助成事業とどのように調整を行うかに関する計画を合わせて提出しなければならない。GSI制限の影響を受けるNIH助成受給研究者は全体の約6%のみとされているが、同イニシアティブの導入により、約1,600件の新規助成を、さらに幅広い研究者に対して支給できる可能性があるとしている。なお、NIHは、今後数カ月に亘り、GSIに関するフィードバックを科学コミュニティから受け付ける。

 

2017年5月2日

 

National Institutes of Health:New NIH Approach to Grant Funding Aimed at Optimizing Stewardship of Taxpayer Dollars

 

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地域 北米
アメリカ
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
研究支援 研究助成・ファンディング、研究公正性