【ニュース・アメリカ】NIH、ヒトの幹細胞を動物の胚に注入する研究に対する助成禁止の一部解除を計画

国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)は2016年8月4日、ヒトの幹細胞を動物の胚に注入する研究への助成禁止を一部解除することを計画中であると、NIHのブログ及び連邦官報(Federal Register)において発表した。

 

同提案は、動物の体内でヒトの組織を成長させて、人間の疾患に関する理解を深め、治療法を開発することを目的としている。

 

ヒトの腫瘍をマウスに注入して医薬品の試験を行うなど、ヒトの細胞を動物に注入する研究は長年に亘って行われているが、幹細胞は根本的に異なり、発達中の胚に注入されると、内臓・血液・骨など、どのような細胞にも発達可能である。

 

本助成禁止が解除されると、患者を助ける上で役立つ可能性はあるものの、ヒトと動物を組み合わせるという考え自体は広く支持されるものではないとみられている。NIHの計画は、30日間のパブコメ期間を経て、今秋に施行される可能性が高い。

 

同計画の下で助成禁止が解除されるとみられる研究は、①動物の胚が内蔵の形成を開始する段階に達する前にヒトの幹細胞を胚に注入する研究と、②脳内にヒトの細胞によるキメラが形成されることを回避するために、細胞が動物の脳内に入って脳を変化させる可能性のある齧歯動物以外の動物の胚にヒトの幹細胞を注入する研究の2種類であるが、助成決定のためにはNIH諮問委員会による審査を受けることが必要となる。

 

なお、NIHは、ヒトの精子または卵子を動物に注入する研究に関しては、今後も助成禁止を継続する。

 

本計画を発表したブログは、以下より閲覧可能。
Next Steps on Research Using Animal Embryos Containing Human Cells

 

The New York Times:N.I.H. May Fund Human-Animal Stem Cell Research

地域 北米
アメリカ
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