米国教育協議会(American Council on Education:ACE)は2016年12月13日、特に学生の運動競技において著名な大学に対し、各大学の体育局と学術ミッションとの間での調整を改善し、健全性を重視する文化を確保することを強く要請した報告書「学生競技者、学術面健全性、及び、大学間運動競技(The Student-Athlete, Academic Integrity, and Intercollegiate Athletics)」を発表した。本報告書は、ACEが企画し、大学学長、コーチ、学生競技者、教員、研究者、競技団体役員、及び、米国大学競技協会(National Collegiate Athletic Association:NCAA)会長が出席して2016年4月に実施した円卓会議の結果に基づくもので、本会議は、NCAA男子バスケットボールトーナメントで上位に入る強豪校を含む多数の大学において、学業面での不正行為が行われていることが判明したことから開催されたものである。NCAA役員によると、2015年には大学21校に捜査が入り、過去2年間で9件の不正が立証されたという。ACEの報告書は、①健全性を重視する文化、②リスク管理、③学生競技者の全学生への統合、の3つの領域に重点を置いている。本報告書による主な提案事項は以下の通り。
- 大学が運動競技選手に対して他の学生とは違う方針・実践を採用する場合は、非常に高い要件を満たすこと。
- 大学は、運動競技選手に対して留学・インターンシッププログラムを提供するだけでなく、通常授業を通した単位取得を奨励すること。
- 学生競技者の多様性に合わせて、様々な背景を持つ体育局スタッフ及びコーチを採用すること。
- 大学は、教育の価値・実践・ミッションが大学間競技プログラム実施の基準となることを強調した明確なミッション・ステートメントを発表すること。
なお、本報告書は、以下よりダウンロード可能。
American Council on Education:THE STUDENT-ATHLETE, ACADEMIC INTEGRITY, and INTERCOLLEGIATE ATHLETICS[PDF:4.51MB]
Inside Higher ED:Seeking ‘Culture of Integrity’ in College Sports