【ニュース・アメリカ】2015年のNIH助成受給者、上位10%のPIが助成総額の37%を受給

ハーバード大学(Harvard University、マサチューセッツ州)のバークマン・クライン・インターネット・社会センター(Berkman Klein Center for Internet&Society)は、国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)からの助成受給者に関する調査の分析結果を発表した。

 

これによると、2015年のNIH助成受給者のうち、上位10%の助成受給者が助成総額の約37%を受給していることが明らかになった。これは、1985年調査時の32%からは5ポイント上昇しているが、ピークであった2010年調査時の40%からはやや低下している。その一方で、下位40%の主任研究員(PI:principal investigator)による受給額は助成総額の約12%で、1985年次の16%を下回り、2010年調査時の11%からはほぼ変化がないことが明らかにされた。
また、上位と下位のグループに属するPIの間では助成受給額に大きな差があり、上位10%のPIの受給額中央値が145万ドルであるのに対し、下位40%のPIでは中央値が14万ドルであることが判明した。この結果は、大学別に見ても同様で、2015年には上位10%の助成受給大学が助成総額の75%を受給している一方で、下位40%の大学が受給したのは僅か0.6%のみであった。これは、1985年調査時の上位10%の大学が助成総額の70%を受給、下位40%が1%を受給という構図からほとんど変化がなかった。その他の主な結果は以下の通り。

  • 上位20%のPIは、下位グループのPIよりも論文数や引用数が多い。その中でも、上位10%グループのPIによる論文数は上位20%グループのPIの1.4倍。
  • 研究者としてのキャリアの最初の8年間で受給した最初の助成額が上位10%に入る場合、その後平均5年間は上位10%グループに留まる可能性が高い。一方、最初の助成額が下位40%に入る場合、その後4~6年間は下位40%グループに留まる可能性が高い。
  • NIH助成研究の成果として得られた特許の80%は、NIH助成受給研究機関全体の10%の機関が保有。

なお、本分析結果は、以下よりダウンロード可能。
DIGITAL ACCESS TO SCHOLARSHIP AT HARVARD:On the Biomedical Elite:Inequality and Stasis in Scientific Knowledge Production[PDF:1.70MB]

 

2017年7月18日

 

Science:Relatively few NIH grantees get lion’s share of agency’s funding

地域 北米
アメリカ
取組レベル 政府レベルでの取組
統計、データ 統計・データ
研究支援 研究助成・ファンディング