【ニュース・アメリカ】米国著名公立大学における教員の多様性が拡大する一方、STEM分野の黒人教員は継続して低い割合

ミズーリ大学コロンビア校(University of Missouri-Columbia)経済学准教授のコリー・コーデル(Cory Koedel)氏らは、米国の著名公立大学40校に所属する教員の多様性及び給与格差に関する研究結果をまとめた論文「競争率の高い公立大学における人種・民族・性別による在職状況・給与の格差(Representation and Salary Gaps by Race-Ethnicity and Gender at Selective Public Universities)」を「エデュケーショナル・リサーチャー(Educational Researcher)」誌8月号で発表した。

 

コーデル氏らは、USニューズ・アンド・ワールド・レポート紙(U.S. News&World Report)が取りまとめた2015~16学年度の大学ランキングに基づく公立大学上位40校に関し、STEM(Science, Technology, Engineering and Mathematics)分野では生物学、化学、経済学の3学部、非STEM分野では教育リーダーシップ・政策、英語、社会学の3学部に所属するテニュア及びテニュアトラックの教員の多様性を人種・民族及び性別で検証した。その結果、全体的に黒人・ヒスパニック系・女性の教授数が少なく、STEM分野に限ってみると、人種・民族に関係なく女性教授が少ないことが明らかとなった。但し、STEM分野における黒人教授を除いては、各分野とも多様性が拡大傾向にあるという。また、教授の多様性には、当該分野を専攻する博士号取得者数における多様性の割合が反映されていることも判明した。主な結果は以下の通り。

  • 教員の地位別でみると、助教では、白人の割合が低い一方でアジア系及びヒスパニック系の割合が高く、准教授・教授と比較すると男性の割合が低い。これは全分野に共通であるが、特にSTEM分野ではその傾向が顕著。
  • STEM分野では、教員の地位に関わらず黒人教員の占める割合が低い。
  • 給与格差に関しては、黒人・ヒスパニック系男性教員の年収は、白人男性教員と比較して平均1万~1万5,000ドル低い。また、性別で見ると、男性教員の年収が女性教員の年収を平均2万3,000ドル上回る。これらを様々な要因で調整すると、人種間格差はなくなる一方で、男女間格差は約4,000ドル残る。

2017年8月22日

 

Inside Higher ED:The Missing Black Professors

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