米国科学工学医学アカデミー（National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine）は2017年9月14日、軍民両用の生命科学研究が国家安全保障面での脅威となる可能性と、リスク緩和のための取り組みを検証した報告書「生命科学における軍民両用研究の懸念～現在の問題と議論～（Dual Use Research of Concern in the Life Sciences：Current Issues and Controversies）」を発表した。
本報告書は、米国では生物学研究の安全な実施が行われてきているが、バイオセキュリティ面での懸念となるような生命科学情報の普及に関する政策・規制は断片的である他、生物科学者の多くはバイオセキュリティ問題に関する認識が低いことを指摘している。また、同報告書は、研究結果のオープンな普及による恩恵を維持しつつ誤用を防ぐことは困難であると認識しながらも、これは公衆衛生に大きな利益をもたらす科学の進歩を支援することになると主張している。懸念される軍民両用研究への対応において重要となる要因は以下の通り。
- 幅広い生命科学コミュニティにおける継続的且つインタラクティブな教育・訓練。
- 監督・執行機能を持つ諮問機関との協力。
- 政策・アプローチに関する国際的調整。
- 世界保健機関（World Health Organization：WHO）などの既存国際機関や新興国際機関との協力。
- 出版社の役割及び責任の統一。
- 普及過程の重要な段階における法律・規制・政策メカニズム。
- 一般との協力強化。
なお、本報告書は、以下より閲覧可能。
National Academies Press：DUAL USE RESEARCH OF CONCERN IN THE LIFE SCIENCES：Current Issues and Controversies
National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine：Policies Governing Dual－Use Research in the Life Sciences Are Fragmented; Most Scientists Have Little Awareness of Issues Related to Biosecurity
