【ニュース・アメリカ】教育省、公民権局が発表した大学構内における性的暴行への対処指針に批判的であったアダム・キッセル氏を高等教育プログラム担当長官補佐代理に指名

教育省(Department of Education)は2017年6月5日、チャールズ・コーク財団(Charles Koch Foundation)の上級プログラム役員を務めるアダム・キッセル(Adam Kissel)氏を、高等教育プログラム担当長官補佐代理に指名した。

 

キッセル氏は、高等教育へのアクセス拡大と大学の能力強化のためのプログラムを運用・管理する部門を主導することになるが、同部門には、歴史的黒人大学、マイノリティ学生を積極的に受け入れる大学、障害のある学生及びシングルペアレントである学生を支援するプログラムなどが含まれる。また、不利な立場にある生徒の大学進学・学位取得を支援する連邦トリオ(TRIO)プログラムの監督も同氏が行うことになる。

 

キッセル氏は、教育省公民権局(Office for Civil Rights)が2011年に発表した修正教育法第9条(Title IX)を、大学構内における性的暴行への対処に適用させる指針に対し、頻繁に批判を繰り返していた。ベッツィー・デボス(Betsy DeVos)教育長官は、同指針に対する具体的な計画にはこれまで言及していないが、キッセル氏の登用により、教育省が同指針を撤回する可能性に関して議論を呼ぶ可能性があると見られている。

 

キッセル氏が大学構内における言論の自由と正当な法的保護を受ける権利の擁護団体である「教育における個人の権利財団(Foundation for Individual Rights in Education:FIRE)」に勤務していた時に、FIREは教育省が発表した同指針に反対し、これを撤回するために教育省を相手取って提起された訴訟を支援していた。なお、上院教育委員会ランキングメンバーのパティ・マレー上院議員(Patty Murray、ワシントン州選出民主党)は、キッセル氏が教育長官補佐代理に指名されたことを受け、大学構内で性的暴行を受けた被害者が公正な処遇を受けることが更に難しくなる可能性があるとし、非常に憂慮するとの声明を発表している。

 

2017年6月6日

 

The Chronicle of Higher Education:Koch Foundation Officer, a Critic of Title IX Guidance, Will Join Education Dept.

地域 北米
アメリカ
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