【ニュース・アメリカ】教育省、オバマ政権下で成立した高等教育関連規則2件を白紙に戻して新たに規則策定委員会を設立する意向を発表

2017年6月14日、教育省(Department of Education)のベッツィー・デボス(Betsy DeVos)長官は営利大学に説明責任を負わせ、営利大学によって間違った方向に導かれたり詐欺被害に遭ったりした学生を救済するためにオバマ政権下で成立した、「連邦学資ローン返済に対する利用者保護(Borrower Defense to Repayment:BDR)」規則及び「十分な収入の得られる就職(Gainful Employment:GE)」規則の2件に関し、白紙に戻して新たに規則策定委員会を設立する意向であることを発表した。

 

デボス長官は、最優先事項は学生の保護で、大学による詐欺行為は容認できないとしながら、現行規則は学生にも大学にも不公平で、納税者である国民に多大な負担を課すものとコメントしている。デボス長官は、規則を一から修正すべき時が来たとし、教育省は大学による搾取行為から学生を保護しながら、大学に対して明確、公正、且つバランスの取れた規則を提供することを目指すとしている。

 

また、BDR規則に関しては、7月1日付で施行予定であったものの、係争中の訴訟があることから、施行を延期すると発表した。一方、GE規則は既に施行されており、委員会による同規則の再検討が2017年11月~12月に開始される見込みであることから、改訂された規則が施行されるのは2019年7月以降となるが、新たに制定された規則が施行されるまでは現行法が効力を維持するか否かは不明である。なお、教育省は、これらの規則を一から策定し直す具体的な手続きに関する告示を6月16日付で連邦官報(Federal Register)に公示し、これら2件の規則に関する一般公聴会を7月10日にワシントンDCで、7月12日にテキサス州ダラスで、それぞれ開催する予定である。これら2件の規則が白紙に戻されるということは、営利大学にとっての事実上の勝利といえる。

 

教育省プレスリリースは、以下より閲覧可能。
Department of Education:Secretary DeVos Announces Regulatory Reset to Protect Students, Taxpayers, Higher Ed Institutions

 

The Chronicle of Higher Education:DeVos Will Roll Back 2 Obama Regulations, a Blow to Consumer Advocates

 

【関連記事】
【ニュース・アメリカ】マサチューセッツ州など18州とワシントン特別区、学資ローン利用者保護規則を撤回した教育長官と教育省を提訴(2017年7月6日付)
【ニュース・アメリカ】教育省、高等教育機関の「十分な収入の得られる就職」規則の廃止を正式に提案(2018年8月10日付)

地域 北米
アメリカ
取組レベル 政府レベルでの取組
行政機関、組織の運営 政策・経営・行動計画・評価
学生の経済的支援 学費