【ニュース・アメリカ】大学オンライン講座受講者数、2012年~2015年の間に営利大学で大幅に減少し非営利私立大学で急増

バブソン調査研究グループ(Babson Survey Research Group)、イー・リテレート社(e-Literate)、及び、非営利組織のWICHE教育技術協同組合(WICHE Cooperative for Educational Technologies:WCET)は、連邦政府による高等教育在籍状況データを分析した報告書「デジタル学習羅針盤(Digital Learning Compass)」を発表した。

 

本報告書は、遠隔教育提供機関を取り巻く状況を2012年と2015年で比較しており、2012年秋学期では、営利大学のフェニックス大学(University of Phoenix、アリゾナ州)でオンライン講座を少なくとも1クラス受講している学生数は25万6,000人超で、非営利私立大学で在籍学生数全米50位の南ニューハンプシャー大学(Southern New Hampshire University:SNHU)を約20万人上回っていた。しかし、2015年秋学期では、オンライン講座を少なくとも1クラス受講した学生数の全米1位はフェニックス大学で変わらないものの、在籍学生数は約10万人減少したのに対し、SNHUではオンライン講座受講者数が約5倍増となり、全米ランキング第4位となった。

 

このように、遠隔教育の先駆者となった営利大学において学生数が激減した一方で、非営利私立大学ではオンライン講座受講者数が急激に増加している傾向が明らかにされた。また、大学在籍者数は全般的に減少傾向にあるものの、オンライン講座受講者数は全セクタにおいて増加傾向にあり、非営利私立大学の68%、営利大学の63.9%、及び、公立大学の63.7%で、2012年~2015年の間にオンライン講座受講者数が増加していることが明らかになった。非営利私立大学におけるオンライン講座受講者数急増の背景に関しては、本報告書では言及されていないが、バブソン調査研究グループ共同ディレクターのジェフ・シーマン(Jeff Seaman)氏は、①大規模な営利大学の学生数減少、②非営利私立大学のオンラインプログラムが、多数の学生の受入れが可能な状態になった、の2点を仮説として挙げている。

 

なお、本報告書は、以下よりダウンロード可能。
digital learning COMPASS:Digital Learning Compass:Distance Education Enrollment Report 2017[PDF:1.04MB]

 

2017年5月2日

 

Inside Higher ED:‘Volatile’ but Growing Online Ed Market

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