【ニュース・アメリカ】大半の米国大学、労働・中産階級の米国人にとっては手の届かない存在

高等教育政策研究所(Institute for Higher Education Policy:IHEP)は2017年3月22日、米国大学の価格の適切性に関する問題を分析した報告書「限られた手段、限られた選択肢~大学は多くの米国人にとって今も手の届かないもの~(Limited Means, Limited Options:College Remains Unaffordable for Many Americans)」を発表した。本報告書は、学生が週10時間労働し、家族が可処分所得の10%を10年間貯金した場合に、正味学費の支払が可能となる大学を適正価格の大学の基準とし、米国大学2,000校超に関して価格の適切性を検証したものである。その結果、学生がローンを利用したくない場合、労働・中産・上流中産階級の学生にとって、大半の大学は手の届かないものであることが明らかにされた。また、連邦学資ローンを最大限に利用した場合であっても、少なくとも全体の70%の大学は、労働・中産階級の学生にとっては手が届かないものであることが明らかになった。同報告書は、連邦・州政府及び大学の政策決定者に対し、価格の適切性問題に関して協力して対処する必要性を強く主張し、以下の5点を提案した。

  • 連邦議会は、低所得層学生のための奨学金「ペルグラント(Pell Grant)」を保護・強化すべき。
  • 州政府は、公立大学及び必要度に応じた学資援助プログラムへの直接投資を強化すべき。
  • 大学は、学生のための支出を重視するために学内経費を管理すべき。
  • 可処分資産を保有する大学は、財政支援の必要な学生の学費を低価格にすべき。
  • 連邦議会は、消費者情報と透明性を改善するための法案を可決し、学生が学費に関して適切な決断をするための情報を提供すべき。

Institute for Higher Education Policy:Limited Means, Limited Options:College Remains Unaffordable for Many Americans

地域 北米
アメリカ
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
学生の経済的支援 学費