2015年9月17日、国立衛生研究所（National Institutes of Health：NIH）の長官諮問委員会（Advisory Committee to the Director：ACD）は、NIHのフランシス・コリンズ（Francis S. Collins）長官に対し、プレシジョン・メディシン（precision medicine：PM）に関する知識及び実務を拡大するために、100万人以上の米国人から成る研究参加者グループ（コホート）を構築するためのフレームワークの詳細を提示した。これは、コリンズ長官が、オバマ大統領によるプレシジョン・メディシン・イニシアティブ（Precision Medicine Initiative）のための作業部会をACD内で編成し、大規模な研究コホート作成・管理計画を策定するよう指示していたことによるものである。同作業部会が作成した報告書「プレシジョン・メディシン・イニシアティブ・コホートプログラム　～21世紀の医療のための研究基盤構築（The Precision Medicine Initiative Cohort Program – Building a Research Foundation for 21st Century Medicine）」（URL1）には、コホートの編成、参加者の関与、データ、生物試料、政策、及び管理などに関し、様々な提案がまとめられている。主要な提案事項は以下の通り。

・環境曝露、遺伝要因、及び、遺伝と環境の相互作用の統合による疾病範囲のリスクに関する数量的予測値の考案。
・一般的に利用される治療に呼応した、個々の変化の原因特定。
・一般的疾病の発症リスクを増減させる指標となる生物学的マーカーの発見。
・活動・生理学的測定・環境曝露と医療効果を対応させるための携帯型医療（mobile health：mHealth）技術の利用。
・新たな疾病分類と関係の策定。
・ 健康増進を目的としたデータ・情報による研究参加者の強化。
・標的療法試験を可能とするためのプラットフォーム作成。

URL1: http://www.nih.gov/precisionmedicine/09172015-pmi-working-group-report.pdf
URL2: http://www.nih.gov/news/health/sep2015/od-17.htm