国立衛生研究所（National Institutes of Health：NIH）は2015年12月30日、テトラ・ディスカバリー・パートナーズ社（Tetra Discovery Partners LLC）が、新たな神経学的治療の発見・開発促進を目的としたプログラム「NIHブループリント神経治療ネットワーク（NIH Blueprint Neurotherapeutics Network）」の下で助成を受給して開発した記憶力向上のための実験的薬剤「BPN14770」のフェーズ1安全性試験が行われていることを明らかにした。同プログラムから助成を受けて開発された薬剤がフェーズ1臨床試験に進むのは、今回が初めてである。同試験は、NIH傘下機関の国立神経疾患・脳卒中研究所（National Institute of Neurological Disorders and Stroke：NINDS）と国立老化研究所（National Institute on Aging：NIA）が資金を拠出して行われている。「BPN14770」は、ホスホジエステラーゼ4D・ネガティブアロステリック調節因子（phosphodiesterase 4D negative allosteric modulator：PDE4D-NAM）に分類される初の化合物である。「PDE4D」は脳細胞間の接続形成の役割を果たす酵素で、「PDE4D」を阻害することにより、学習・記憶を強化するたんぱく質「環状アデノシン一リン酸（cyclic adenosine monophosphate）」の活動が増加するという。「BPN14770」は、副作用の少ない認知症・アルツハイマー病治療手段として使用する可能性が期待されている。

National Institutes of Health：New NIH-funded memory drug moves into Phase 1 clinical study