2015年9月15日、国立衛生研究所（National Institutes of Health：NIH）のフランシス・コリンズ（Francis S. Collins）長官はNIH傘下の国立精神衛生研究所（National Institute of Mental Health：NIMH）ディレクターを2002年から13年間務めたトーマス・インセル（Thomas R. Insel）氏が、同年11月1日付で同職を退任することを明らかにした。インセル氏は、NIMHディレクター在任中に、25カ国の研究所約80機関に所属する研究者500人超が関与した「精神医学ゲノミクス・コンソーシアム（Psychiatric Genomics Consortium）」、精神疾患研究のための新たな分類を開発した「研究ドメイン基準（Research Domain Criteria：RDoC）」、軍人を対象に実施した過去最大規模の精神衛生リスクと回復力に関する研究におけるNIHと国防総省（Department of Defense）との間での初のパートナーシップである「陸軍軍人リスク・回復力評価研究（Army Study to Assess Risk and Resilience in Servicemembers：Army STARRS）」、自閉症関連データのリポジトリである「米国自閉症研究データベース（National Database for Autism Research：NDAR）」、積極的早期治療により統合失調症の進行と予後を根本的に変えるためのNIMHの研究努力である「初期統合失調症発現後の回復（Recovery After an Initial Schizophrenia Episode：RAISE）」などといったイニシアティブに貢献した。インセル氏は、NIMHを退職後、アルファベット社（Alphabet、元グーグル（Google）社）のグーグル生命科学（Google Life Sciences：GLS）チームの一員として、精神衛生に重点を置いた新たな取り組みを主導する予定である。なお、インセル氏の後任には、2009年～2014年にNIMH成人トランスレーショナル研究部門（Division of Adult Translational Research）ディレクターを務めたブルース・カスバート氏（Bruce Cuthbert）がディレクター代理として就任する。

URL1: http://www.nih.gov/about/director/09152015_statement_insel.htm