【ニュース・アメリカ】公立4年制大学における学費高騰の主要原因は、州政府からの助成の減額

公共政策シンクタンクのデモス社(Demos)は2015年5月5日、公立4年制大学の学費高騰の原因を検証した報告書「高等教育の階段の引き上げ ~手の届きやすい大学学費の危機に関する誤った通念と事実~(Pulling Up the Higher-Ed Ladder:Myth and Reality in the Crisis of College Affordability)」を発表した。本報告書は、米国教育統計センター(National Center for Education Statistics:NCES)のデルタ・コスト・プロジェクト・データベース(Delta Cost Project Database)から得られた公立大学の収入・支出データに基づいて作成されたもので、公立4年制大学を、①研究活動レベルが高く、多くの博士号取得者を輩出する「研究大学」と、②主に修士号及び学士号取得者を輩出する「修士・学士大学」の2つのカテゴリーに分類して分析しており、全体の約60%が「研究大学」に、40%が「修士・学士大学」に分類されるという。これによると、大学授業料高騰の原因として、大学管理費及び施設建設費が挙げられることが多い一方、真の原因は州政府からの助成の減額であることが判明した。具体的な研究結果は以下の通り。

・研究大学における学生1人あたりの支出額は、2001年~2011年の間に8%増。

・同期間における公立大学の平均授業料は、研究大学では学生1人あたり3,628ドル増、修士・学士大学では同2,463ドル増。

・授業料上昇の原因は、78~79%が州政府からの助成減額、5~6%が大学管理費増額、6%が施設建設費。

・学生寮建設などといった、補助的開発を目的とした支出額は、同期間で研究大学では学生1人あたり1,789ドル増、修士・学士大学では同524ドル増であるが、学生寮滞在費・食費や寄付金などといった、補助的開発に関連する収入の増加率は支出の増加率を上回り、2011年の同収入は支出よりも高額。

・同期間における州政府からの助成は、研究大学において学生1人あたり3,081ドル減で、修士・学士大学では同2,067ドル減。

URL1: http://www.demos.org/publication/pulling-higher-ed-ladder-myth-and-reality-crisis-college-affordability

地域 北米
アメリカ
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
統計、データ 統計・データ