【ニュース・アメリカ】マサチューセッツ工科大学(MIT)研究者ら、基礎研究に対する連邦助成の減少が米国イノベーション低迷につながると警告

マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology:MIT)は2015年4月27日、同大学の研究者及び研究管理者らで構成される委員会が作成した、基礎研究に対する連邦助成の減少がそれぞれの研究分野に与える具体的影響の詳細をまとめた報告書「延期された未来 ~基礎研究への投資減少が米国におけるイノベーション低迷の脅威となる理由~(The Future Postponed: Why Declining Investment in Basic Research Threatens a U.S. Innovation Deficit)」(URL1)を発表した。本報告書では、アルツハイマー病、サイバーセキュリティなどといった、政府による助成を必要とする研究分野15分野における潜在的な可能性を強調しながら、連邦助成が不十分であるために実現できていない現状を以下のように具体的に提示している。

・2012年1月~2015年3月の間に、食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)はがん治療用新薬を27種類承認し、その中の2種類は米国人女性患者が290万人いる乳がんを標的としたものであるが、米国人患者が500万人いるアルツハイマー病治療薬は過去10年以上に亘り未承認。

・合成生物学研究は、個々に合わせた遺伝的疾患の治療や、改変ウィルスを利用したがん細胞の特定・死滅につながる可能性があるにもかかわらず、研究助成金不足のために優秀な研究者が海外に流出。

・世界の人口は2040年までに現在の70億人から90億人まで増加すると予測され、植物科学におけるイノベーションが必要であるにもかかわらず、植物関連基礎科学研究開発分野に対する連邦助成は、他の科学分野よりも大幅に低額。

URL1: http://dc.mit.edu/sites/default/files/innovation_deficit/Future%20Postponed.pdf
URL2: https://newsoffice.mit.edu/2015/mit-report-benefits-investment-basic-research-0427

地域 北米
アメリカ
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
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