【ニュース・アメリカ】トランプ大統領、連邦政府との契約で米国企業を優遇し就労ビザ制度を改革する内容の大統領令に署名

トランプ大統領は2017年4月18日、連邦政府との契約において米国企業を優遇し、外国人技術者を対象としたH1-B就労ビザプログラムを改革する内容の大統領令に署名した。

 

大統領は、一部の企業はH1-Bビザプログラムを悪用し、米国人労働者に高い給与を支払う代わりに、賃金の低い移民労働者を採用していると主張し、抽選に基づく選出プロセスを改革するとしている。連邦政府がH1-Bビザプログラムの下で就労を認めている外国人労働者は年間8万5,000人で、その大半はハイテク・工業・医学・科学分野に就労している。但し、同大統領令では比較的緩やかな段階的措置が取られていることから、大統領令に提示された内容を実行するには数年を要することになる。

 

大統領は、H1-Bビザは非常に能力が高く高給の申請者に対して付与されるべきとしており、これに関しては、米国人労働者で必要な資質を備えた人材がいないために外国人労働者を雇用せざるを得ない企業も同意している。しかし、インドの主要技術業界団体であるインド・ソフトウェア・サービス企業協会(National Association of Software and Services Companies)は、H1-Bビザ保有者が「低賃金労働者」で「米国人労働者の代わりとなるために訓練」しているなどといった大統領の発言はいずれも事実ではなく、インド企業の信頼性を傷つけ不当な扱いをするものであるとの声明を発表している。なお、同大統領令の発表は、トランプ大統領就任後100日を迎えようとする重要な時期に行われ、イスラム教国からの旅行者入国禁止政策及び健康保険改革が順調に進められなかったこともあり、同大統領令で国民からの支持率回復を目指しているが、チャールズ・シューマー上院議員(Charles Schumer、ニューヨーク州選出民主党)は、同大統領令は単なる掛け声だけで問題解決にはならず、新たな雇用創出に繋がるものではないとコメントしている。一方、教育省(Department of Education)のベッツィー・デボス(Betsy DeVos)長官は、今回の大統領令署名・発表に関し、大統領に対する賛辞を述べている。

 

なお、同大統領令に関する大統領府からのプレスリリースは、以下より閲覧可能。
The White House:President Trump Promotes “Buy American and Hire American”

 

デボス教育長官のコメントは、以下より閲覧可能。
Department of Education:Statement from U.S. Secretary of Education Betsy DeVos on President Trump’s Buy American and Hire American Executive Order

 

The New York Times:Trump Signs Order That Could Lead to Curbs on Foreign Workers

地域 北米
アメリカ
取組レベル 政府レベルでの取組
行政機関、組織の運営 政策・経営・行動計画・評価