【ニュース・アメリカ】トランプ大統領、パリ協定からの離脱を発表

トランプ大統領は、国際気候条約であるパリ協定(Paris Agreement)批准国から米国が離脱することを2017年6月1日に発表した。大統領は、同協定は米国企業及び労働者に対して不公平な環境基準を強要するもので、米国民とともに「過酷な」国際協定に反対すると発言した。

 

パリ協定は、地球温暖化防止に向けて世界を団結させることを意図したもので、世界第2位の汚染者である米国による離脱は大きな打撃となる。大統領は、米国にとってより良い内容の協定とするために、英国・フランス・ドイツ・カナダのリーダーと電話会談を行い、大統領自身が決断に関する説明を行ったと発言しているが、その直後にフランス・ドイツ・イタリアが共同声明を発表し、パリ協定の撤回はできず、再交渉も不可とした。

 

大統領による決断は、大統領の最高戦略責任者を務めるスティーブン・バノン(Stephen K. Bannon)氏と環境保護庁(Environmental Protection Agency)のスコット・プルート(Scott Pruitt)長官による主張が受け入れられたもので、米国家経済会議(National Economic Council:NEC)ディレクターのゲリー・コーン(Gary D. Cohn)氏、大統領の娘であるイバンカ・トランプ(Ivanka Trump)氏、及び、レックス・ティラーソン(Rex Tillerson)国務長官らによる強力な反対が押し切られた形となった。大統領による決断に対し、ミッチ・マッコーネル上院議員(Mitch McConnell、ケンタッキー州選出共和党)は称賛したが、民主党議員及び各国首脳からは批判を浴びており、フランスのエマニュエル・マクロン大統領とカナダのジャスティン・トルドー首相は、それぞれトランプ大統領を強く非難した他、欧州連合(European Union:EU)気候担当委員のミゲル・アリアス・カニェテ(Miguel Arias Cañete)氏は、トランプ大統領の発表は同協定批准国を弱体化させるものではなく逆に活性化させるもので、米国が抜けた穴はコミットしたリーダーによって埋められると発言した。また、同協定締結に尽力したオバマ前大統領は、批准国として残った国々が雇用・産業創出による利益を受けることになり、米国では、州・地方政府及び企業による主導の下で、地球を守るための取り組みが強化されるだろうと発言した。さらには、産業界リーダーもトランプ大統領の決断を非難しており、IBM社やゼネラル・エレクトリック社(General Electric)は、産業界の主導の下で気候変動対策を進める必要があると主張した。

 

2017年6月1日

 

The New York Times:Trump Will Withdraw U.S. From Paris Climate Agreement

 

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地域 北米
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