【ニュース・アメリカ】サードウェイ社、米国の4年制公立大学の現状における問題を指摘

公共政策シンクタンクのサードウェイ社(Third Way)上級教育政策アドバイザーのタマラ・ヒラー氏(Tamara Hiler)と社会政策・政治プログラム担当副社長のラネー・エリクソン・ハタルスキー氏(Lanae Erickson Hatalsky)は、米国の4年制大学の学費や就職率などを含む現状を全般的に分析した報告書「授業料無料で修正できないもの~多くの公立大学は大学中退者工場~(What Free Won’t Fix: Too Many Public Colleges are Dropout Factories)」を発表した。本報告書が指摘した主要な分析結果は以下の通り。

  • 4年制公立大学を6年以内に卒業するフルタイムの新入生の割合は48.3%で、新入生の3分の2以上が6年以内に卒業する大学は、4年制公立大学全体の15%に相当する80校のみ。
  • 平均的な4年制公立大学では、学資ローンを利用した学生の36.5%が、大学入学から6年後の年収が2万5,000ドル以下。また、22.2%が大学を離れて3年以内にローン返済を開始できず。
  • 学生の卒業率・就職後の年収・学資ローン返済率など比較する「可動性基準(mobility metric)」と呼ばれる指標に基づくと、低・中所得層学生の平均卒業率は、質の高い大学が66.5%であるのに対し、質の低い大学は31.0%で35.5ポイント差。また、学資ローン返済率は、質の高い大学が90.0%であるのに対し、質の低い大学は60.7%で約30ポイント差。
  • 低所得層学生のための連邦奨学金「ペルグラント(Pell Grant)」を受給する学生が在学生全体に占める割合は、可動性基準に基づく質の高い大学では29.3%であるのに対し、質の低い大学では48.6%。また、「ペルグラント」受給学生が全体の半分以上を占める大学81校のうち、可動性基準に基づく上位25%に分類される大学は3校のみで、上位50%でも14校のみ。
  • 低・中所得層学生(世帯当たりの年収が4万8,000ドル以下)の学生が負担する正味学費は、可動性基準に基づく質が上位25%に分類される大学では平均1万176ドルであるのに対し、下位25%に分類される大学ではそれを約600ドル上回る1万762ドル。

Third Way:What Free Won’t Fix: Too Many Public Colleges are Dropout Factories

地域 北米
アメリカ
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
学生の経済的支援 学費