【ニュース・アメリカ】オレゴン州、コミュニティカレッジの授業料無料化プログラム「オレゴン・プロミス」の最初の学期の報告書を発表

2016~17学年度秋学期からオレゴン州で導入された、州内の高校を卒業後、引き続き州内コミュニティカレッジに進学する学生の授業料を無料とするプログラム「オレゴン・プロミス(Oregon Promise)」の最初の学期の報告書が発表された。これによると、本プログラムの下での初年度の奨学金受給者数は6,745人で、2014年に2年制大学で少なくとも6単位に登録した同年の高校卒業者5,700人を上回ることが明らかにされた。また、同プログラムへの応募者数は1万9,000人超で、このうち約1万500人が成績平均点(GPA)2.5以上という条件を満たしていたが、その中の約1,100人はオレゴン州内の4年制大学への進学を選択し、同奨学金の受給を辞退している。一方、2016年高校卒業者でオレゴン州内の公立4年制大学に進学した学生数は、2016年秋学期に大学に進学した同年高校卒業者全体の17.6%で、2015年の18.3%、2014年の18%を下回った。さらには、同プログラムの下でコミュニティカレッジに進学する低所得層学生の授業料は、連邦奨学金「ペルグラント(Pell Grant)」で賄われる部分が大きいことから、オレゴン州政府が拠出する同プログラム予算の恩恵を受ける割合は高所得層学生の方が高いことや、経済的に支援の必要な学生に対する州政府からの奨学金は縮小されていることが明らかにされた。オレゴン州は予算不足の問題に直面しており、特に州内の公立4年制大学関係者は、経済的支援の必要な学生のための州政府からの学資援助予算を「オレゴン・プロミス」よりも優先すべきと提言している。但し、同プログラムの立ち上げに伴い、オレゴン州は連邦学資援助無料申込(FAFSA)の申請者数が全米トップになるなど、大学進学者数増加に向けた効果も見られており、大学授業料無料化プログラムの擁護者らは、プログラム初年度には予測される現象と捉えている。

 

なお、本報告書は、以下よりダウンロード可能。
The State of Oregon – Higher Education Coordinating Commission:
SENATE BILL 81 LEGISLATIVE REPORT:The First Term of the Oregon Promise, December 2016[PDF:1.48MB]

 

Inside Higher ED:Promise Too Costly?

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