オバマ政権は2014年3月28日、オバマ大統領が進める「気候行動計画(Climate Action Plan)」の一環として、「メタン排出量削減戦略(Strategy to Reduce Methane Emissions)」を発表した。本戦略は、メタン排出源の集約、影響力の強い温室効果ガスであるメタン排出量削減のための新たな手段導入の誓約、メタン排出量測定改善のための政府の取組みに関する概要、を示したもので、費用効率の良い自発的行動と常識的基準を通じて、埋め立てごみ処理地、石炭鉱業、農業、及び石油・ガスシステムからのメタン排出量をさらに削減することを目指している。具体的手段は以下の通りである。
・埋め立てゴミ処理地:新規埋め立てゴミ処理地からのメタン排出量削減のために、2014年夏に環境保護庁(Environmental Protection Agency:EPA)が最新版基準案を制定し、既存の埋立地の基準を改正するかどうかについてはパブコメを募集
・石炭鉱業:2014年4月に内務省(Department of the Interior:DOI)土地管理局(Bureau of Land Management:BLM)が提案規則作成先行公示(Advanced Notice of Proposed Rulemaking:ANPR)を行い、政府所有地における鉱物メタン廃棄物の捕捉・販売・処理のためのプログラム開発に関するパブコメを収集
・農業:酪農業界、農務省(Department of Agriculture:USDA)、EPA、及びエネルギー省(Department of Energy:DOE)が提携し、米国の酪農セクターによる温室効果ガス排出量を2020年までに25%削減するための自発的戦略の概要を示した「バイオガス・ロードマップ(Biogas Roadmap)」を2014年6月に発表
・石油・ガス:
2014年春に、EPAが石油・ガスセクターにおける主要なメタン排出源を評価し、専門家の意見を取り入れた上で、秋までにこれらの排出源からのメタン排出量削減のための対処法を決定すると共に、さらなる規制が必要な場合は、2016年末までに規制を策定
2014年後半に、BLMが公用地における石油・ガス生成に伴う排気・燃焼を削減するための新基準案を制定
4年に一度のエネルギー見直し(Quadrennial Energy Review)の一環として、DOEが開催する円卓会議を通じて、政府はダウンストリームにおけるメタン削減機会を特定する他、天然ガスSTARプログラム(Natural Gas STAR program)を通じて、EPAは業界と協力してメタン排出量削減のための自発的努力を拡大