【ニュース・アメリカ】エリート男性研究者、女性よりも男性を多く雇用する傾向

マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology:MIT)所属のがん生物学者であるジェイソン・シェルツァー氏(Jason Sheltzer)とツイッター社(Twitter)所属のソフトウェア・エンジニアであるジョーン・スミス氏(Joan Smith)が、米国で研究ラボを率いる主任研究員(PI)の性別と、研究員の男女構成割合に関する調査結果をまとめた論文「生命科学分野におけるエリート男性研究者による女性雇用は少数(Elite male faculty in the life sciences employ fewer women)」が、米国科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences)に掲載された。両氏は、米国の著名な24研究機関の39部門で勤務する9,000人超の大学院生及びポスドクフェローに関する公開データに基づき調査した結果、研究ラボのPIが男性の場合、ポスドクの36%、大学院生の47%が女性であるのに対し、女性がPIである研究ラボでは、ポスドクの46%、大学院生の53%が女性で、PIの性別により、雇用されるポスドク・大学院生の男女構成割合に格差があることが判明したという。この格差は、PIが米国科学アカデミー(NAS)会員もしくはハワード・ヒューズ医学研究所(Howard Hughes Medical Institute:HHMI)からの助成受給者などといったエリート男性PIの場合はさらに顕著で、女性ポスドクフェローの割合は31%に低下する他、ノーベル賞受賞男性研究者22人が率いる研究ラボでは、ポスドクフェローの男女比が3対1であったという。その一方で、女性PIがNAS会員もしくはHHMI助成受給者である場合と、そうでない場合を比較すると、雇用する研究員の男女比はほぼ同様であることが明らかにされた。同論文の執筆者は、研究員の雇用の背景には多くの要因があり、この男女間の格差が一概に男女差別とは言えないものの、特に男性PIは才能ある女性研究者を積極的に採用する努力が必要としている。

なお、本論文の要約は、以下の「URL1」から閲覧可能。

URL1: http://www.pnas.org/content/early/2014/06/25/1403334111
URL2: http://www.nature.com/news/elite-labs-hire-more-men-than-women-1.15483

地域 北米
アメリカ
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
人材育成 研究者の雇用、教員の養成・確保
統計、データ 統計・データ