【海外センターレポート・ブラジル】高等教育機関総合指標(IGC)について

2016年12月の報告書では、教育省傘下のINEP(アニジオ・テイシェイラ教育研究調査院)が実施する全国学生能力試験(Enade)について紹介しました。この試験は、INEPが、大学のデータを収集し、各学科で求められる最低の知識・技能レベルを問うものです。またこの報告書では、試験の結果と、その結果が教育に関する政策案にどのように影響したかを簡単に報告しました。そこで、今回は、2017年3月8日に公表された2015年度の高等教育機関総合指標(IGC)のデータについて紹介します。

 

IGCは大学の質を評価する指標で、教育省は、約15%の大学が「不十分」という評価を受けたことを公表しました。この指標の計算には、学生の成績、インフラ、教員の経歴や大学院の評価結果も考慮されます。

 

INEPのマリア・イネス・フィニ総裁は、2015年度IGCについて、「評価対象となった大学の著しい改善はみられなかった。質の水準は変化していない」と評価しています。IGCは5段階で、1と2は「不十分」という評価を示しますが、2015年は対象の大学の0.4%が1、14.4%が2、67%が3、16.6%が4、1.1%が5という評価を受けました。残りの0.4%は、試験実施の方法の変更や何らかの問題が理由で評価外となりました。

 

公立大学の方が全体的に私立大学より高い評価を得ました。公立大学の28%が4、4.9%が5、私立大学の15%が4、0.6%が5という評価を受けました。

 

また、2015年におけるCPC(学科基本評価)と呼ばれる指標も公表されました。これは、経営、行政、会計、経営、ジャーナリズム、公告・宣伝、デザイン、法律、心理学、国際関係、秘書、神学、観光の各分野の学士課程、貿易、インテリアデザイン、モード、グラフィック、料理、販売管理、品質、人材、財務、PR、ロジスティック、マーケティング、管理プロセスの各分野の専門課程を評価したものです。

 

評価対象となったのは、2109大学の8,121の学科で、1 と2は「不十分」という評価を示します。評価対象の学科の0.3%が1、11%が2、57.7%が3、26.5%が4、1.2%が5という評価を受けました。大学全体ではなく学科別に評価したこの指標では、5を取った私立大学の学科は1.4%だった一方、公立大学の学科は0.4%で、私立大学が上回りました。4を取った公立大学の学科は32.9%で、私立大学の学科は25.5%でした。今回は、最終学年に在籍する54万9,487人が申し込み、44万7,056人が試験に参加しました。

 

INEPの高等教育品質管理総合調整担当官代行のマリアンジェラ・アブラォン氏は、「質の高い教育を国家の目的と捉えてそれに取り組む者にとり、平均を下回る評価を受けたところについては非常に懸念される」とコメントしており、ここ数年で大学に進む人が増えたことから、それに伴う質の改善が必要との認識を示しています。

 

指標について
INEPは、毎年、多くの指標を用いて大学の評価を行っていますが、その一つが大学の最終学年に在籍する学生に対して実施するEnadeです。毎年異なる学科の評価が行われ、3年かけて全学科の評価が行われるという仕組みになっています。

 

Enadeにおいては、学生は試験を受けるだけでなく、大学のインフラや教育状況に関するアンケートに回答します。評価対象の学科の最終学年在籍学生には、Enadeの試験だけでなく、アンケートの回答も義務付けられています。正当な理由なく試験を受けなかった学生には、学位を授与されません。

 

CPCは、主にEnadeの学生の成績、学生のアンケートで得られたデータ、大学調査(Censo da Educação Superior)で得られた教員のデータをもとに計算される指標です。例えば、各教育機関の修士号取得者、博士号取得者の数、労働条件などが考慮されます。

 

IGCは、CPCのほか、高等人材育成業務統括機関(CAPES)により行われる国内の修士・博士課程の評価をもとにして行われます。全ての学科が網羅されるよう、過去3回のCPCの結果をもとに計算されます。

 

CPC、IGCともに、1から5までの5段階評価で示され(平均値は3)、正規分布により表されます。

 

以下に、INEPが公表したIGCおよびCPCのグラフを示します。

 

 
地域 中南米
ブラジル
取組レベル 政府レベルでの取組
行政機関、組織の運営 政策・経営・行動計画・評価
大学・研究機関の基本的役割 教育、質の保証
統計、データ 統計・データ
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