【海外センターレポート・ブラジル】私立大学の通信教育課程の拡大について

今回は、私立大学が提供する通信教育課程への需要の高まりについて報告します。私立大学経営者組合(Semesp)が公表するデータによれば、通学課程の学部に入学する学生数が伸び悩み、2016年11月時点では1.1%増が見込まれていたものの2017年は0.6%増にとどまる見込みです。Semespは、2016年は通学課程の学部新入生の数が2.6%減ったと指摘しており、2017年の通学課程への新入生と在学生の履修登録数は0.7%増と見込まれていましたが、0.4%増に下方修正されました。(*1)

 

一方Semespによれば、通信教育課程に対しては需要が高まっており、2017年末までに通信教育課程の新入生が年間で3.8%増えると見られています。
私立大学通信教育課程への入学者が増えている理由として、通常、通学課程に比べ学費が安く、より多くの学生の履修を受けつけていることが挙げられます。教育分野の市場調査を行うEduca Insightsの創始者ルイス・トリヴェラト(Luiz Trivelato)氏は、今後5年の間に、通信教育課程の定員数は通学課程の定員数を上回ると見ています。通信教育課程については、「第10回ブラジル私立高等教育機関学会(Cbesp)」において幅広い議論が行われ、通信教育課程開講に関する規制を緩和する2017年5月25日付政令第9057号が公布された後にも関心を集めました。

 

一方で、複数の私立大学を経営する「Anima Educação」グループのダニエル・カスタニョ(Daniel Castanho)社長は、「教育は今後、2つのシステム(通学課程と通信教育課程)の混合型の時代となる」と見ています。同社が通学課程の学生と通信教育課程の学生の学力を比較する調査を行ったところ、ある一つの科目の成績の比較において、通学課程で学ぶ学生の成績は、通信教育課程のみで履修する学生の成績より37%優良という結果でした。また、2つのシステムの混合型(全課程の50%から70%を通学制で学び、それ以外は通信制)で学ぶ学生の成績は、通学課程で学ぶ学生の成績の16%優良という結果でした。(*2)

 

カスタニョ氏は、「数年後、通学制と通信制の明確な区別がされることは無くなるだろう。ブラジルの教育制度は(通学制と通信制の)混合型となり、テクノロジーは自宅で利用される時代になる。その他種々のメソッドを取り入れることで、教員との時間もより有意義なものとなる」と話しています。

 

この通学課程と通信教育課程を組み合わせたシステムは、今後増えると見込まれていますが、複数の大学で通信教育課程導入のための投資が活発に行われており、今後もその傾向は続くと見られています。

 

(*1)EXAME:Semesp revê para baixo estimativas para ensino superior em 2017「Semespが2017年の高等教育履修者の推定値を下方修正」2017年1月4日付

 

(*2)EPOCA:Educação superior a distância cresce em ritmo acelerado「大学の通信教育課程が急成長」2017年5月28日付

地域 中南米
ブラジル
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
行政機関、組織の運営 政策・経営・行動計画・評価
大学・研究機関の基本的役割 教育
人材育成 学生の多様性
レポート 海外センター