【海外センターレポート・ブラジル】学術研究・技術革新プログラム向け投資基金の創設について

連邦政府は2017年11月15日、国内初の試みとして、国内の高度な学術研究の助成を目的とする投資基金を12月に創設することを発表しました。その資金は特に電力、バイオエネルギー、石油、通信、鉱業の企業から集められ、金額は年間2億レアルに達する見込みです。現在でも、契約または法律に基づき、純収益額の約1%相当を、企業が学術調査・研究に投資する制度があります。

 

現在の仕組みは、企業側がプロジェクトを企画し、それを実行する研究機関を探して契約を結ぶというものです。しかし、多くの場合でプロジェクトは頓挫し、資金の一部は結局投資されずに終わり、規制当局への罰金の支払いに当てられるか、国庫へ移転されているのが現状です。

 

そこで、企業の資金を大学・研究機関に届きやすくするため、投資基金を創設して資金の一部を投入し、上記の業種以外の会社にも投資の門戸を開くことが狙いです。ただし、積立金が連邦政府の経費削減の対象とならないよう、あるいは「政府歳出上限法」(連邦政府の歳出の伸び率は前年のインフレ率を上限と定めた法律)の適用外となるように、民間の投資基金として運営されます。

 

リオ・デ・ジャネイロ連邦大学(Universidade Federal do Rio de Janeiro:UFRJ)名誉教授で、ヴァーレ技術研究所(Instituto Tecnológico Vale)執行役員のサンドヴァル・カルネイロ・ジュニオール(Sandoval Carneiro Júnior)氏は、「(基金創設の)案は非常に興味深い。その特徴上、ブラジルにおける学術研究振興の新たな原動力となる」と前向きな見方を示しています。

 

【基金の仕組み】
基金の枠組みを整えるのは教育省(MEC)傘下のCAPES(Coordenação de Aperfeiçoamento de Pessoal de Nível Superior:ブラジル高等教育評価支援機構)ですが、実際の運営は独立した民間組織が中心となって行い、ブラジル学術アカデミー、SBPC(ブラジル学術振興協会)、国家産業連盟、CAPES、CNPq(国家科学技術開発審議会)が参画します。

 

この基金は、現在教育省が創設を進める「大学・研究機関拠点プログラム(Programa de Excelência de Universidades e Institutos)」の一環となる予定で、このプログラムは10年計画で、以下の主旨のもとCNPqが実行します。
1)高等教育機関の発展と国際化。

2)ブラジルの大学が世界有数の大学に誇れる、基礎研究および応用研究のグループへの支援。
3)技術革新を視野に入れた、大学と、民間セクターを含む一般社会との関係強化。

 

この基金創設により、ブラジルの学術研究の卓越性が維持され、さらなる国際化が進むこと、さらには世界イノベーションランキングでは69位に甘んじている現状を打破し、技術革新能力を高めることが期待されます。

 

FOLHA DE S.PAULO:Governo vai criar fundo privado para financiar pesquisa e inovação 2017年11月15日付(2017年11月22閲覧)

 

サンパウロ海外アドバイザー 二宮 正人

地域 中南米
ブラジル
取組レベル 政府レベルでの取組
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