【海外センターレポート・ブラジル】ブラジルの「起業大学」ランキングでサンパウロ大学が首位

ブラジル国内の50大学(学生数1万人)を対象とした、Brasil Junior(ブラジル・ジュニア・エンタープライズ連盟*)の2017年の調べによると、ブラジルの名門大学の一つであるサンパウロ総合大学(Universidade de São Paulo:USP)が、2年連続で、ブラジルで最も起業家的な大学(進取の気性に富んだ大学)に選ばれたことが分かりました。

 

この調査では、大学のインフラ、国際化への取組み、資金、起業文化、イノベーション、地域貢献活動・公開講座などの取組みが考慮されました。40以上の大学が格付けされ、2位にはミナス・ジェライス連邦大学(Universidade Federal de Minas Gerais:UFMG)、3位にはサンパウロ州立カンピーナス大学(Universidade Estadual de Campinas:Unicamp)、私立ではリオ・カトリック大学(Pontifícia Universidade Católica do Rio de Janeiro:PUC-RIO)が5位にランクインしました。

 

*ジュニア・エンタープライズ(Empresa Júnior)とは、高等教育機関の学生が組織する、教育目的の非営利団体を指し、ブラジルでは2016年法律第13297号により法制化されました。

 

UOL:USP lidera ranking de universidades empreendedoras no Brasil 2018年2月15日付(2018年2月22日閲覧)

 

ランキングが発表された資料において、Brasil Júniorのカロリーナ・ウチムラ(Carolina Utimura)理事長は、次のようにコメントしています。
「現在のブラジルの経済、政治情勢において、起業活動は国の変化の原動力となっている。このランキングの結果から、現在の社会の状況に満足感を得られず、より革新的な大学への入学を望み、自分自身を最大限に高めようとする、また、自分達が置かれている環境・世界を疑問視するという、近年の大学生の姿勢が明らかになった。」

 

「起業大学」という概念は、2017年6月から8月にかけて行われた全国の大学生を対象としたインターネット上の調査(4,000人が参加)を経て生まれたもので、資金、起業文化、公開講座、インフラ、イノベーション、国際化という6つの指標から成るものです。

 

このランキング作成には、Brasil Júniorのほか、Enactusブラジル支部、Aiesec、CsF(Ciências Sem Fronteiras、連邦政府が実施するブラジル人留学生国外派遣事業)、国外居住ブラジル人大学生協会(Brasa)が協力しました。
プロジェクトによれば、「起業大学ランキング」の指標は、ある大学の起業大学の度合を調査するだけでなく、各大学をいかに改善させるかに関する提案、種々の例や明確なアイデアの提示、さらに、大学教育の基準や模範を改善する可能性を検討することも目的としています。

 

Brasil Junior:ÍNDICE DE UNIVERSIDADES EMPREENDEDORAS SÃO PAULO | 2017(2018年2月22日閲覧)

 

質の高い身近な工学
大学発の起業プロジェクトの成功例の一つが、「Poli Júnior」です。Poli Júnior は、1989年に設立された、サンパウロ大学総合工科学校の学生らが設立し、運営する非営利目的の団体です。Poli Júniorは、様々な規模の企業を顧客に抱え、コンサルティングの提供や、5つの分野(土木工学、機械工学、生産工学、化学工学、コンピューター工学)のプロジェクトを実施しています。運営に参画する学生が職業人としての能力を養成し、業界との接点を持ち、工学分野の知識を実践に移すことが目的です。

 

サンパウロ海外アドバイザー 二宮 正人

地域 中南米
ブラジル
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 教育
社会との交流、産学官連携 産学官連携
統計、データ 統計・データ
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