【海外センターレポート・ブラジル】ブラジルにおける公立大学統一選抜システム、私立大学進学支援政策について

2016年1月に、昨年10月の全国中等教育確認試験(Enem)の回答が公表され、受験者は数学、言語・情報、人文科学、自然科学、作文の点数を得ました。受験者は、この5科目の点数の平均点を統一選抜システム(Sisu)に登録します。Sisuは、受験生が進学を希望する大学と学部の試験に申し込みをするためのオンラインシステムで、2010年から運用が開始されました。2016年度のSisuには、131を超える公立大学が、22万8千人の定員を設け、270万人以上の受験者が登録しました。今回は、新たに国内トップのサンパウロ大学(USP)の35学部が、1500人の定員をSisuに設けました(これとは別に、USPは、Fuvestと呼ばれる従来の大学独自の試験を実施しており、この試験により9500人が選抜されます)。

 

ただし、この1500人のUSPのSisuにおける定員は充足されず、Sisuへの登録期間の終了後、11の学科で定員が割れている状態でした。これは、関心の低さのみが理由ではありません。Sisuを通じてUSPを受験するためには、Enemの平均点として650点から700点を獲得する必要があるという、非常に高い基準が設けられているためです(*1)。他大学の学科の大半は、設置する定員数、入学を志望する受験生の点数を考慮した上で、取得しているべきEnem平均点を決定しており、USPのように事前に基準を設定していません。また、Sisuで定員割れしていたUSPの学科の大半が、サンパウロ州内陸部のキャンパスで開講されているもので、通常、これらのキャンパスで開講されるコースは、サンパウロの都市部のキャンパスのコースよりも倍率が低くなっています。

 

Sisuは通常、年の後半にも登録を受け付けますが、今回のSisuではUSP以外の大学の定員も割れたことから、それ以外に特別に登録を受け付けるという計画があります(日程は未公表)。この特別の登録受付は、割れている定員数を減らすことを目的とするものです。

また、1月には、教育省による「国民全員に大学教育を」(Programa Universidade para Todos-Prouni)プログラムへの申し込みが始まりました。これは、私立大学の学費の全額または一部を奨学金として支給する政府のプログラムで、Sisuと同様、奨学生の選考には、応募者の前年のEnemの獲得点数が考慮されます。また、応募するには公立学校で、または私立学校で奨学生として中等教育を修了している、あるいは何らかの障害を持っている、また、一人当たりの収入が最低賃金の1.5倍に満たない家庭の出身であることが条件です(*2)。

 

私立大学進学を支援するその他のプログラムとしては、「高等教育機関の学生向け融資制度」(FIES)があります。融資を受けるためには、応募者は、一人当たりの収入が最高でも最低賃金2.5倍の家庭の出身であることが条件で、選考には、2010年以降のいずれかの年のEnemの成績が考慮されます。2016年前半の選抜は1月26日に始まりました。

 

サンパウロ海外アドバイザー 二宮 正人

 

*1: Enemで獲得し得る最高得点は1000点
*2 :2015年の最低賃金はR$ 788,00で、最低賃金の1.5倍はR$ 1182,00(2016年1月の為替レートの平均は1レアル=30円)

地域 中南米
ブラジル
取組レベル 政府レベルでの取組、大学等研究機関レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 教育
学生の経済的支援 学生向け奨学金
人材育成 入試・学生募集
レポート 海外センター