【ニュース・フランス】人文学・社会科学:将来への投資

人文学と社会科学振興のための10の方策
Thierry Mandon担当大臣は2016年7月4日、研究者、市民社会の代表、機関の代表との半日間の対話集会を開いた。そこでは、10の提言が行われ、すでに一部は実行中、あるいは実現に向けて準備中である。
2016年3月にCNRSのAlain Fuchs理事長によって提出された人文学・社会科学国立アライアンス ATHENAレポートは、研究の世界と政策立案者間の知識の交流の重要性を指摘している。
この半日の討論は人文学・社会科学における研究が、世の中で起こる出来事の緊急性を越えて、政府の行動を推し進め、大衆に知らせることができる課題について展望を得ることができる。

 

10の提言
ワーキンググループからの提案を受けて、Mandon大臣は人文学・社会科学振興のための最初の10提言を示した。

 

その1:知の生産とその拡散の変革に寄り添うこと
その2:研究・教育において学際性を鼓舞すること
その3:人文学・社会科学への研究募集によって、研究資金援助へのアクセスを容易にすること
その4:人文学・社会科学分野の博士、修士修了者の就職状況を改善すること
その5:学術的な集約とアンケートデータの保証を推奨すること
その6:養成・研究においてデジタル技術をよりよく活用すること
その7:人文学・社会科学における国際化を図ること
その8:人文学・社会科学研究に関する情報を可能な限り広めること
その9:高等教育における研究を高めること
その10:人文学・社会科学を世の中の中心に据えること

 

4つのワーキンググループ

 

【グループ1】
研究と公共の意思決定の間の知識の移転をどう考えるか?
研究の世界と政策立案者とのリンクを強化する必要性が明らかである場合、どのようなテーマについて、一緒に作業する必要があるか。選出議員や閣僚からどのような要望が出てくるのか、また、研究者は、研究の進捗に応じて、それを翻案しながら、どこまで応えればいいのか。閣僚の中で研究や研究者をより重要なものと認識してもらうにはどうすれば良いか。

 

【グループ2】
オープンアクセスの時代に、知識へのアクセシビリティをどのように取り扱えばいいのか?
オープンアクセスできる人文学・社会科学分野の知識量は増大し続けているが、そのような知識の適切な利用が意思決定者のもとで行われてはいない。これは研究者と政策立案者の間の円滑なコミュニケーションが行われているかという問題であり、とくに知識から意思決定、そして行動という一連の連携が乏しい。

 

【グループ3】
国際間・セクター間の比較
フランスにおける過激と暴力の問題は人文学・社会科学における知識の問題を集約しているが、その普及についてはいまだ欠けているところがあることに注目すべきである。さらに国際的には、他の国は人文学・社会科学分野における知識を広範に普及できているか。もし、そうなら、それはなぜか。

 

【グループ4】
知識を普及させるための新しい場所と政策の転換
研究によれば、パブリック・アクションと知識の生産の間のリンクはここ20年で大きく変化していることを示している。
いまや、機関決定に人文学・社会科学の研究成果を反映させるために新しいツールを使用する必要があるのだろうか。この人文学・社会科学と公的意思決定者との間のダイアローグを改善するために今後どのようなことができるだろうか。それらの関連性と成長の機会を検討することが必要であろう。

 

2016年11月28日

 

Enseignement supérieur et Recherche:Les S.H.S., un investissement pour l’avenir

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