【ニュース・イギリス】産業戦略緑書を発表

2017年1月23日、政府は英国経済の長期的な課題に取り組むための産業戦略を構築すべく、産業戦略緑書(Building our Industrial Strategy Green Paper)を発表し、意見募集(コンサルテーション)を開始した。国全体の生産性を上げ、成長を後押しすることで、生活水準と経済成長を改善することを目的とするもので、緑書は、現代の産業戦略のためのビジョンと早期に取るべきアクションを示している。意見募集締切は、2017年4月17日。

 

主要10項目:

科学、研究、イノベーションへの投資
技能の養成
インフラの質の向上
ビジネスの立ち上げと成長のサポート
政府調達の改善
貿易と国内投資の促進資
経済的なエネルギーとクリーンな環境の提供
世界をリードする分野の育成
英国全体での成長の促進
関係部門を同じ場所に集め連携を促進するための適切な機関の設立

 

①については、2016年秋期財政報告書(2016年11月)で発表された、2020~21年度までに追加投資される£47億の用途として、次の事項を含む案が提示されている。

  • 強い地元産業との産学連携の支援や新たな研究施設の設置
  • STEM科目(科学、技術、工学、数学)の博士号取得者数と研究奨学金の増
  • 国際的に優秀な研究者をひきつけるためのプログラムの検討
  • 産業戦略チャレンジファンド(Industrial Strategy Challenge Fund)により支援すべき課題の優先順位付け

また、②については、地元の雇用者の需要を満たす高い技能を身につけさせられる技術教育機関の設立に£1億7,000万を投資すること、技術教育の改革案等が示されている。

 

GOV.UK:Building our Industrial Strategy

 

○緑書:(Building our Industrial Strategy:Green Paper)[PDF:9.39MB]

 

【メディアの反応】

 

○BBC News
Theresa May首相は、EU離脱後の英国経済の強化に向けた新たな産業戦略案を発表した。中央政府のインフラ投資と地方の有望な産業を連携させるため、ブロードバンド、輸送、エネルギーに焦点が置かれた内容である。

 

BBC News:Theresa May give details of action plan for British industry

 

【関係機関の反応】

 

○ラッセル・グループ(Russell Group)
同グループのWendy Piatt事務局長は緑書の発表を受けて、“革新的なアイディア、最先端の研究、そして高い技能を有する人材は競争の激しい世界の中で英国が成功する上で欠かせない。目的を絞った投資と産業戦略は我々大学の目指すところと合致しており、イノベーションや専門家を生みだすための鍵である。首相がいう‘将来に目を向けるグローバルな英国’を築くために、我々リーディング大学はその中心でなければならない。ラッセル・グループは国全体の経済成長、雇用、投資を下支えし、この計画の実現のため政府に協力していきたい。”と語った。

 

Russell Group:Industrial Strategy Green Paper 2017

 

○大学組合(UCU:University and College Union)
UCUの書記長であるSally Hunt氏は、産業戦略の一部として政府が技術教育に£1億7000万を投資する案について、“職業教育と技能の改善の大切さを政府が認めたことには励まされるが、新しい発想や適切な助成金というより、技術戦略の焼き直しのように見える。
これでは、2010年以降、100万人の成人が学ぶ場所を失うことになった継続教育における財政危機の解決にならない。もし政府が技術教育を支援するのであれば、小手先の案を出すのではなく、何千人もの教師が不足している生涯教育のカレッジに投資すべきである。”と語った。

 

University and College Union:UCU response to government technical education plans

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